CHOICE|ママでも、アスリートでも。FC琉球さくら 齋藤選手インタビュー

CHOICE|ママでも、アスリートでも。FC琉球さくら 齋藤選手インタビュー

「私らしく」活躍しているママたちに会ってみたい!
彼女たちが今に至るまで、どんな選択や決断をしてきたのか。

「CHOICE」は、沖縄で活躍する女性に焦点を当て、ママとして、そして一人の女性として毎日を全力で楽しむための
「秘訣」を紹介するインタビューシリーズです。仕事や家庭、育児など、日々の生活の中で奮闘する女性たちにとって、
少しでも前向きに過ごすためのプラスαのヒントをお届けすることを目的としています。

同じ境遇で頑張る皆さんが共感でき、すぐに実践できるようなアイデアやアドバイスを引き出し、ポジティブなエネルギーを広めたいと考えています。第11回目は、FC琉球さくら所属のサッカー選手・齋藤オリヴェイラ 夏美 選手にお話を伺いました。

【CHOICE】|齊藤オリヴェイラ 夏美 選手インタビュー

FC琉球さくら 齊藤オリヴェイラ 夏美 選手

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FC琉球さくら 齊藤オリヴェイラ 夏美 選手

ブラジルでのプレー経験を持つ沖縄在住のサッカー選手。出産後もアスリートとしてピッチに立ち続け、子育てとサッカーを両立する"ママ選手"として活躍中。女性や子どもたちの未来のために、プレーだけでなく沖縄の女子サッカーの可能性を広げることにも情熱を注いでいる。

ブラジルでのプレー経験を持つ沖縄在住のサッカー選手。出産後もアスリートとしてピッチに立ち続け、子育てとサッカーを両立する"ママ選手"として活躍中。女性や子どもたちの未来のために、プレーだけでなく沖縄の女子サッカーの可能性を広げることにも情熱を注いでいる。

レンジャーが好きだった女の子が、ピッチへ

——サッカーを始めたきっかけを教えてください。

幼稚園の頃からセーラームーンよりレンジャーが好きで(笑)、とにかくかっこいいものに憧れていたんです。その「かっこいい!」という感覚がそのままサッカーへの入り口になりました。小学生の頃はチームで女子が自分一人。それでも全然気にしなくて、戦隊ごっこの延長みたいな感覚でずっとボールを蹴っていました。

中学では部活がバスケ、クラブチームでサッカーという二刀流で。高校はサッカーが強い学校に行きたくて、宮城の聖和学園へ。そこから寮生活がスタートして、サッカー一色の毎日でした。

 

——大学・クラブチームを経て、INAC神戸へ。当時はどんな気持ちでしたか?

スペインの強豪クラブ「FCバルセロナ」が大好きで、そこでプレーしたいという夢を本気で持っていました(笑)。国内女子サッカーの強豪クラブ・INAC神戸に入団し、初めての大きな挫折を経験します。それまでスタメンで試合に出てきたのに、日本代表クラスの選手たちのレベルに圧倒されて。シーズン通じて試合に出られたのは3試合ほど。

 

——それでもサッカーが嫌いにならなかったのは?

INAC神戸時代に、毎試合スタジアムに来る姉妹の女の子と出会い、なかなか試合に出れない自分を応援してくれていました。その子たちの存在によって、「試合に出場していなくても、見てくれている人たちがいる」と気づかされ、サッカーを嫌いにならずに続けられた理由のひとつになりました。

 

好奇心100%、楽しそう!でブラジルへ

——その後、岡山への移籍、そしてブラジルへ。どんな経緯だったんですか?

シーズン途中で岡山へ移籍したんです。チームで借りていた一軒家に住んでいたら、ブラジル人のチームメイトが来て、2年ほど一緒にシェアハウスすることになって。その子と仲良くなるうちに、「ブラジルでやってみたい」という気持ちがどんどん大きくなっていきました。

自分のプレー映像を編集してブラジルのチームに送って、自分を売り込みました。語学力はほぼゼロ、お金の見通しも不安だらけ。でも私の中で「やりたいことが一番。お金や場所はNOの理由にならない」という軸があって。無事にクラブが見つかり、2018年から約10ヶ月、ブラジルでプロ選手としてプレーしました。

 

——実際に住んでみてどうでしたか?

もう、想像を超えるイレギュラーの連続でした(笑)。チームのバスが1〜2時間遅れてきて、そのままいきなり試合、なんていうのが普通にある。最初は「ルーティンが!」って焦っていたんですけど、気づいたら「まあいいか」ってなっていて。あの経験で、どこでも誰とでも、何があっても受け入れられる自分のキャパがグンと広がりました。ブラジルの貧富の差、肌の色の違い、価値観の多様さ——日本では気づかなかったことをたくさん学んだ10ヶ月でした。

 

コロナ、結婚、そしてママから主婦へ

——プライベートではママでもある齋藤選手、その辺りも少し伺えますか?

ブラジルから帰国後、結婚・出産というライフステージの変化が重なりました。ちょうどコロナ禍と時期が重なるという、なかなかドラマチックな状況で(笑)。慌ただしかったけれど、家族が増えた喜びはひとしおでした。

その後は育児に専念する時間が続いたんですが、社会から切り離されたような感覚がじわじわとしんどくて。ずっと動いてきた自分が、急に止まってしまった感じでした。

少し落ち着いてきた頃に、立川でビーチサッカーをやり始めて。気持ちがまたサッカーに傾いてきたところで、以前から交流のあった伊丹FCというチームが女子チームを立ち上げるから来ないか、と声をかけていただきました。教員免許を活かして学校で不登校支援の仕事も始めて。子どもを保育園へ送り出してから仕事、夕方からチーム練習——という毎日がスタートしました。

指導期間中に第二子の妊娠もわかって、育休を挟みながらも、最後の年は中学生年代の監督を子連れで続けました。充実していたけれど、時間や生活のバランスがどうしても難しいなと感じていたタイミングに、SNSで偶然、FC琉球さくらの選手募集を見かけたんです。

 

 

5年ぶりのピッチ、沖縄で「選手」に戻る

——FC琉球さくらへの加入は、どんな決断でしたか?

問い合わせたら「すぐ来てください」と言ってもらえて(笑)。ブラジル以降、5年間は選手としてプレーをしていませんでした。南城市に引っ越してきて、1年間は待機児童で子どもを預けられなかったし、つい先週やっと慣らし保育が終わったばかり。

環境的には決してラクじゃなかったけど、「やりたいことが一番」という自分の軸は変わっていなかった。今は周りのサポートを受けながら、選手としてプレーしながら、KBC高等学院の女子サッカー部のコーチやFC琉球さくらのガールズサッカースクールのコーチ・運営も担っています。

 

——現役復帰して、サッカーへの向き合い方は変わりましたか?

昔は「FCバルセロナに入りたい!」という、自分のための夢が原動力でした。今は「みんなのために捧げられる」という気持ちがベースにある。子どもたちが喜ぶ顔が見られるならどんなこともできる、そんな気持ちで、子どもたちのために、チームのために、沖縄の女性の未来のために——そう思えるようになってから、プレーが変わった気がします。

 

——「ママだから」と制限をかけそうになることはありますか?

あります(笑)。選手として練習に参加できないことで、試合に出ていいのか、クラブへの申し訳なさを一人で抱えていた時期がありました。「全部やりたい、でも全部はできない」そのジレンマがきつくて。ある時、思い切って「一回諦めてみよう」ってしてみたんです。

人に頼ることを覚えたら、ずいぶん楽になりました。FC琉球さくらはママ選手の支援にも取り組む、沖縄の女性の未来を作るチーム。様々な環境でみんなやっていて、その環境の違いも理解しあえる仲間がいることが、私の背中を押してくれています。

 

——お子さんの存在は、プレーに影響しますか?

お母さんが楽しそうにしていると、子どもも明るくなる。お母さんが輝いていると、家の中が明るくなる。それを実感しているから、自分が全力でいることが、子どもへの一番のプレゼントだと思っています。子どもも一人の人生を生きているから、答えを押しつけるより、楽しく生きている背中を見せていきたいです。

 

 

今シーズンの夢は、スタジアムでカチャーシー!

——今後挑戦してみたいことはありますか?

今シーズンの最大の目標は、スタジアムを満員にしてカチャーシーを踊ること!4/11の開幕戦ではクラブ過去最多の721名ものファンが来てくれて、勝利してみんなでカチャーシーで盛り上がれました。あの景色が忘れられなくて、次は2000〜3000人の中でやりたい!

現役の女子サッカー選手でママというのは、日本全体でもまだ数名ほど。だからこそ、私がピッチに立ち続けることに意味がある。女子プロサッカーリーグのWEリーグでは、ホーム試合で託児施設の設置が義務化されており、子育てしながら選手を続けられる環境が整いつつあります。そんな未来を、沖縄からも一緒に作っていきたいです。

 

——沖縄のママたちへメッセージをお願いします。

自分に正直でいてほしいです。思ったことに蓋をしない。ちゃんと自分の心と向き合う。心に従って生きていたら、必ず助けてくれる人や出来事が現れます。子育ては大切だけど、子どもも一人の人生を生きている。お母さんが明るくいることが、家庭を明るくする。家族のために、自分の好きなことをやっていい。私はいつもハッピーでいることだけを、自分に約束しています。

幼稚園でレンジャーに憧えた女の子が、ブラジルを経て、コロナ禍の結婚・出産を越えて、今は沖縄のピッチに立っている。その道のりは決して一直線ではないけれど、「やりたいことが一番」という軸だけはブレなかった。

次のFC琉球さくらの試合は、5月2日(土)11時より、東風平運動公園サッカー場で開催!

ぜひスタジアムへ足を運んでみてください。
一緒にカチャーシーを踊る日が、もうすぐそこまで来ています!