
うちなースタイル|知っているようで知らない!沖縄の仏壇文化、子育てママが発見した「へぇ〜」
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うちなースタイル|知っているようで知らない!沖縄の仏壇文化、子育てママが発見した「へぇ〜」
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沖縄ならではの暮らし、文化、食、行事——「うちなースタイル」は、そんな沖縄の日常を楽しく深掘りする連載です。
ママモネ編集部は、沖縄出身の“うちなーママ”と県外出身の“県外ママ”がバランスよく混ざったチーム。だからこそ、沖縄の「当たり前」と「びっくり!」の両方の視点で、リアルな沖縄ライフをお届けします。
内地から沖縄に嫁いできて驚いたことのひとつが、仏壇文化の違い。仏壇の装飾から位牌の並び方まで、沖縄ならではの深い意味があるんです。子育て中のママが知っておきたい沖縄の仏壇文化を、わかりやすくご紹介します!
目次
ご先祖様への想いが詰まった沖縄の仏壇。知れば知るほど、沖縄の家族愛の深さが見えてくる
沖縄の仏壇って、こんなに違うの?!内地出身ママの驚き体験
初めて沖縄の義実家の仏壇を見たとき、その重厚感と大きさに思わず「お、…大きい!」と声をあげてしまうほど圧倒されました。和室の中で放つ存在感にびっくり!美しい木目を活かした大きな仏壇は…まるで一部屋のような存在感です。
今回、沖縄県うるま市で数少ない仏壇メーカーとして仏壇をつくり続けている赤峰家具さんにお話を伺いました。普段はあまり意識しない仏壇ですが、詳しく聞いてみると「へぇ〜!」と思うことばかり。子どもに伝えたいと思える内容がたくさんありました。
私は内地出身ですが、子どもたちにとってのふるさとは沖縄。彼らが沖縄の文化を自分のものとして受け継いでいけるように、私自身もしっかりと学んでいきたいと思っています。
内地の仏壇とは全く違う沖縄の仏壇文化。最初は戸惑いましたが、一つ一つに深い意味があることを知ると感動の連続です。たとえば、沖縄の仏壇には「おりん」がないんです。その代わりにお線香を重視する文化が根付いていて、線香鉢がとても大きくなっています。
ヒラウコーと呼ばれるお線香の本数も「6本」を半分に割って「3本」にする。これも沖縄ならではの特徴なんですよね。
位牌の並び方にも秘密が!家族への愛情が込められた沖縄の智恵
沖縄の位牌を見てびっくりしたのが、本名が表に書かれていること。「えっ、戒名ないの?なぜ?」と思ったら、裏面に戒名が書かれているんです!これって沖縄ならではの配慮ですよね。
位牌の並び方にもルールがあって、段の上が男性、下が女性。夫婦だと上下セットで並んでいるんです。一列に並んでいる場合は、左が女性、右が男性。こうやって家族の絆を大切にする沖縄の心が表れているんだなぁと思います。
〈沖縄の位牌について〉
沖縄の位牌のルールは名前を書く順番があったり、実は後ろに違う方の名前の位牌が入っていることもあったり、継承にタブーがあったり、とても奥が深いです。家々によって位牌のルールが違うのでご自身のおうちの位牌もよく見てみてください。「え?わからない!」となったら、仏壇屋さんに聞いてみるのもありかも…!!
昔は朱塗りの家族の名前が入る位牌がメジャーでしたが、今も木目を活かした美しい位牌を選ぶ方もいるそうです。沖縄伝統の仏壇も、昔は横幅90-120cmサイズ&奥行き65cmが定番でしたが、今は奥行きも60cmと掃除しやすくなっているんです!5cmの差で掃除のしやすさが変わります!
また最近では、住宅事情に合わせてコンパクトな仏壇を希望する家庭が増えているそう。現代の暮らしに合わせて進化しているのも素敵ですね。
沖縄の伝統的な位牌は、漆で塗られ、螺鈿で細工されていてとても美しく、木目の仏壇の中に、キラキラと輝いて美しいなと感じます。
龍の爪が5本の理由って?装飾に込められた沖縄の想い
仏壇の装飾でよく見る龍の彫刻。実は龍の爪の数にも意味があるんです!
沖縄の仏壇の龍は爪が5本の場合もあるのですが、実は、首里城の龍の爪は4本なんです。
ではなぜ爪の本数が違うのか。
沖縄は、長く中国と朝貢関係にありました。琉球の王様の代替りでは、冊封の任命儀式が必要だったんですね。
当時の中華圏では中国皇帝の象徴は龍。龍は中華圏では権威の象徴でした。ですから、爪が五本の龍は中国の皇帝のみが使えた特別な龍だったんです。ちなみに、琉球・韓国は、中国皇帝に敬意を表して4本爪の龍を使っていた歴史的背景があります。
※日本の龍は、龍は権威の象徴ではない場合が多いため、時代の流れによって3~5本の爪の龍が割と自由に使われています。
これを聞いたとき、とても感動しました。沖縄の人がご先祖様の供養のために、どれだけ幸せに天で暮らしてほしいかという想いが込められているんだな…と。
何気なく見逃してしまいそうですが、こういった細かい細部の背景が、沖縄の先祖崇拝のカタチだと感じ、こどもに伝えていきたいと強く思いました。
仏壇は「浄土」という考え方で、沖縄でも内地でも家の中でも良い場所に置かれています。
沖縄の大きな仏壇、ご先祖様を美しい木目の仏壇で大切にお祀りして、安らかに過ごしてもらいたいという気持ちが伝わってきますよね。金色と茶色の木材を使った仏壇は、まさに技術と心が込められた芸術品です。
子どもと一緒に「うーとーとー」。日常に根付く沖縄の心
沖縄で子育てをしていて素敵だなと思うのが、「うーとーとー」という文化。子どもと一緒に仏壇に手を合わせる時間って、とても大切ですよね。これが日常になることで、子どもたちにとって当たり前のこととして根付いていく。
「ウサンデー」という言葉も沖縄に来て初めて知りました!お仏壇に食べ物をお供えして、それをお下げして食べることなんです。天ぷらをお供えするのも、昔は保存食として重宝されていたから。当時のご馳走でもあったんですね。
「うちかび」もひと束5枚で、特別な決まりはなく気持ちだけで大丈夫だそう。地域やご家庭によっても変わるようです。「気持ちが大切」という考え方が、沖縄らしくて温かいなと思います。
※「打ち紙(うちかび)」…ご先祖様があの世でお金に困らないように願いを込めて、お盆や清明祭(シーミー)などの供養の際に燃やす「あの世のお金」です。
現代の仏壇事情。自分で自分の仏壇を買いに来る人も!
最近の興味深い仏壇事情として、自分で自分の仏壇を買いに来る人が増えているそうなんです!事前に用意して、予約して納品…案外長生きできる人も多いのかも?自分の人生についてしっかり考える時間ができるのかもしれませんね。
現代の仏壇は掃除のしやすさも考慮されていて、細工のところにガラスをつけて埃が入りにくくする工夫も!時代に合わせて進化しているけれど、大切な心は変わらず受け継がれているんです。
仏壇の大きさで何人用とかは決まっていなくて、大きくても小さくても何人でも仏壇に入れるそう。
おしゃれな仏具もあり、現代のインテリアになじむデザインが多いのも印象的でした。
身近な文化から見えてくる沖縄の精神性
仏壇はその地域の歴史・文化・考え方が詰まった存在。人の命への捉え方も込められているんだなと再発見です。冠婚葬祭の文化は複雑で分かりにくいこともありますが、そこには大切な心があってこそなんですよね。
当たり前だと思っている身近な仏壇や沖縄の葬祭の風景を「これはなぜだろう?」「どうしてこうするんだろう?」と考えてみることで、沖縄に根付いている精神性を改めて理解できるのではないでしょうか。
最近の仏壇は、現代の人が亡くなった人を大切に想うことができるように、細かいところが変わってきています。でも変わらないのは、ご先祖様への感謝と愛情の気持ちですよね。
普段当たり前の作法は、その土地の人の想いや歴史がカタチになったもの。
こどもと夫の地元になる沖縄。私も沖縄文化を大切にしたい!もっともっと沖縄を知りたいなと思いました。
まずは身近なところの「なぜ?」興味を持ってみることから始めようと思います!!
意外と知らない大切なことが見えてくるかもしれません。それぞれのお家で、お家に合った形で沖縄の素敵な文化を受け継いでいけたら、きっと素敵ですよね。
INFORMATION
店名:
赤峰家具 本店
住所:
沖縄県うるま市勝連南風原4024−7
電話番号:
098-978-2358
営業時間:
10時00分~19時00分
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