
おしえてママ先生! #02|子どもが自然と片づけたくなる仕組みづくりのコツは?
おしえてママ先生!〜プロに聞く子育ての知恵袋〜
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おしえてママ先生! #02|子どもが自然と片づけたくなる仕組みづくりのコツは?
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「これってどうすればいいの?」「なんとなく不安…」
そんなママたちの声に寄り添う現役ママの専門家が、“ちょっと知っておくと安心できる”子育ての知恵袋をシェアするコラムシリーズです。
医療・保育・食・教育など、身近なテーマをわかりやすくお届けします。
今回ご紹介するのは、整理収脳®コンサルタントの森門あゆみさん。3人の息子を育てながらも、「片づけは人生を変える力がある」と話すあゆみさんは、忙しいママたちの心に寄り添いながら暮らしを整えるサポートをしています。ママたちがラクになれる片づけの考え方と実践のヒントを伺いました。
目次
プロが伝える子育ての知恵袋「お片づけ編」
パニック障害から始まった人生の転機
あゆみさんが整理収納の世界に足を踏み入れたのは、32歳の時にパニック障害になったことがきっかけでした。外に出ることも難しい状況の中で出会ったのが、こんまり(近藤麻理恵)さんの著書「人生がときめく片づけの魔法」。家にいながら人生を変えられるかもしれないと思い、片づけを実践しました。
「片づけをしていく中で、『あ、自分って本当は好きじゃないのにこういうのを持ってたんだ』とか、自分の心がすごく整理されたんです。その時に絶対パニック障害を克服して、これを仕事にするって決めました」
夫の転勤で移り住んだ福岡では、片づけの学びを深め資格を取得し、パン教室を開きつつ、片づけセミナーもスタート。2年後、沖縄に戻ると同時に起業されたそうです。

森門あゆみさんのお宅にお邪魔して、取材させていただきました
「整理収脳®︎」に込められた想い
「整理収納」の“納”を“脳”に変えた「整理収脳®」には深い意味が込められています。
「片づけのスキルだけでなく、思い込みの枠を外して理想を手に入れるための片づけの手法という意味があるんです。片づけって手段でしかなくて、その先に何かを手に入れるためにやってる。ものと向き合う中で、自分の習慣や考え方の癖も変えていく。習慣が変われば人生が変わるのは約束されてるから」

あゆみさんが立っていた壁の裏はパントリー
相手を変えようとしても無駄だった
整理収納の悩みで特によく聞くのが、「家族が片づけてくれない」という声。
あゆみさんもこれまで、企業研修で男性社員に片づけの意識を伝えたり、子ども向けの資格を取得して紙芝居で楽しく教えたりと、さまざまな方法を試してきました。
しかし最終的にたどり着いたのは、「相手を変えようとしても意味がない」という気づきでした。
「結局、お母さん自身に心の余裕がないからこそ、家族の行動が許せなくなるんですよね。だからまずはお母さんの考え方や心のケアを整えることが大切だと思って、このスタイルに戻ってきたんです」

次男は2段目、三男は3段目とエリアが決まっている
「片づけたいのはママでしょ?」三男の金言
あゆみさん自身も3人の息子の母。特に三男は「宇宙人」と表現するほど片づけが苦手だったそう。
「学校から帰ってきたらランドセルをポンポンポン。事件現場みたい(笑)。玄関にカゴを置いても、それをかわすかのように横に置かれて。でもある時三男に『片づけたいのはママでしょ』って言われて、ハッとしたんです。確かに、こいつは何も困ってない」
この一言で、自分がやりたいことを押し付けていたことに気づいたというあゆみさん。子どもの本質を突く言葉にイラっとくるか、「確かにそうだ」と思うかは、心のゆとりの違いだと言います。

リビングにあるゲームエリア
実用アドバイス:忙しいママもラクになる片づけのコツ
あゆみさんが提案するのは、「頑張らない収納」。完璧を目指すのではなく、家族が片づけやすい仕組みを作るのがポイントです。
1. 子ども目線の収納で「自分で片づけられる」を応援
子育て家庭で特に相談が多いのがおもちゃの片づけ。子どもにとって深すぎる箱や高すぎる棚は使いにくいんです。子どもの目線の高さに合わせた棚や、ひとまとめにできるカゴを準備して、「ざっくり片づけOK!」のルールを作るだけで、親のイライラも減ります。
うちの子どもたちはキャスター付きの衣装ケースがおもちゃ箱でした。子どもたちがそれを押してきて『はい、片づけて』って言ったら、それに入れる。ブロックなど細かいものに関しては親のサポートも必要ですよ。
2. まずは「捨てる」からスタート
片づけの第一歩は、収納用品を買うことではなく、物を減らすこと。持ち物が減れば管理も掃除もラクになるし、時間も生まれる。ものは買って終わりではなく、買ってからが長い付き合いの始まり。買う前にそのことを考えてほしいです。
3.「ざっくり収納」で自分を許そう
レジ袋なんて畳まなくてもいいんです。決めたスペースに入るだけでOK。
みんな『ちゃんとしないといけない』『ビニールを畳まないといけない』って思っちゃってるから苦しい。自分が許せるスペースがあってもいいって、自分に許可を出すことが大事です。
4. 収納グッズは「四角い・定番」を選ぶ
収納用品は丸いものより四角いものを。買い足しやすい無印やニトリなどの定番アイテムを選ぶと失敗しにくいですよ。
5. 年に一度は家全体を見直す
我が家では「一日5つ捨て企画」を年末に実施。30日間、家族みんなで小さなものでも5つずつ捨てていきます。
ちっちゃいものでも無理やり5個集めて、「今日はゴム」みたいな(笑)。楽しくできるのがポイントです。
価値観と今後:ママたちの力を“価値”に変える
現在は「整理収脳®︎アカデミー」の生徒を全国300名に増やし、講師を30名に拡大することを目標にしているあゆみさん。
「お母さんたちは『私には何もない』って思ってる人が多いけど、お母さんたちの能力こそすごいと思うんです。タイムマネジメントとか、コミュニケーション能力とか。それこそが強みだと思ってます」
家庭を大事にしてきたからこそ身についたスキルを活かして、同じようなママたちをサポートしていく。そんな循環を大切にしています。

きれいにラベリングされた家族の衣装ケース
まとめ|心を整え、理想の人生へ
今この瞬間にできることがある。完璧を求めすぎず、時には立ち止まる勇気も持ちながら、自分らしいペースで歩んでいく。あゆみさんのお話からは、片づけを通じて自分と向き合い、理想の人生を手に入れるヒントがたくさん詰まっていました。
「自分も大切にしながら、自分の理想をつかみに行く勇気を持ちましょう」——そんな優しくも力強いメッセージが、忙しい毎日を送るママたちの心に響くことでしょう。