CHOICE|英語ボランティア団体「Little Lingo Circle Okinawa」山内彩美さんインタビュー
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CHOICE|英語ボランティア団体「Little Lingo Circle Okinawa」山内彩美さんインタビュー
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「私らしく」活躍しているママたちに会ってみたい!
彼女たちが今に至るまで、どんな選択や決断をしてきたのか。
「CHOICE」は、沖縄で活躍する女性に焦点を当て、ママとして、そして一人の女性として毎日を全力で楽しむための「秘訣」を紹介するインタビューシリーズです。
仕事や家庭、育児など、日々の生活の中で奮闘する女性たちにとって、少しでも前向きに過ごすためのプラスαのヒントをお届けすることを目的としています。
同じ境遇で頑張る皆さんが共感でき、すぐに実践できるようなアイデアやアドバイスを引き出し、ポジティブなエネルギーを広めたいと考えています。
第8回目は、英語ボランティア団体「Little Lingo Circle Okinawa」運営事務局の山内彩美さんにお話しを伺いました。
目次
育児と両立しながら地域に貢献!ママたちが始めた英語ボランティア活動
「ママ、英語喋らないで!」
当時2歳の長男から突然言われた言葉に驚いたと話す山内さん。
家庭で英語を取り入れようと試みていたものの、子どもからのまさかの拒否に戸惑いました。親としてはグローバルに育ってほしいと思っていましたが、子どもの気持ちを尊重しながら、どのように興味を引き出せるか悩んでいました。
しかし、その後、英語ボランティア団体で、異文化交流イベントを企画する中で、子ども自身が英語に興味を持つ瞬間を目の当たりにします。

山内さんが運営事務局として携わっている「Little Lingo Circle Okinawa(以下、リトリンゴ)」は、英語に触れる楽しさを大切にしたボランティア団体。家庭だけでは体験できない本物の英語環境を提供し、子どもたちの好奇心を引き出す活動を行っています。
ボランティア団体立ち上げの背景ときっかけ

ーー立ち上げのキッカケは?
最初は、おうち英語に取り組む家庭同士で、アメリカ人の家族と畑の収穫を楽しむ小さな集まりでした。たった3家族・18名のイベントでしたが、口コミで広がり「うちも参加したい!」という声が次々と届くように。一般募集をかけると予約が殺到し、1年間満員御礼が続くほどの人気イベントになりました。
現在の運営スタッフは3名。全員が子育て中のママで、おうち英語を実践しています。「すべての子どもに豊かな体験を」その想いから、利益を目的としない運営を選びました。
代表が掲げる理念は『教育に答えがある』。
「子どもたちが大きくなる頃には、より住みやすく平和な世界になってほしい」そんな願いが、リトリンゴの活動の原動力になっています。

ーー英語を共通語として本物の体験イベントを企画しているんですね。イベント内容に込めた想いや意図はどのようなものですか?
リトリンゴは「英語を学ぶ場」ではなく、「英語で学ぶ場」を作ることにこだわっています。
農園イベントやウミガメ保護活動、お仕事体験、異文化体験など、子どもたちが実際に体を動かしながら英語に触れる機会を提供しています。

こうした「本物の体験」を大切にしているのは、子どもたちの興味を引き出すためです。英語を教えるのではなく、いかに「英語が楽しい」と思える環境を作るかが重要だと考えています。
だから、リトリンゴでは英語の授業はしません。大切なのは「英語に意識を向けず、夢中で楽しめる環境を作る」。気づけば英語が生活の一部になっているような仕組みを目指しています。

英語を拒否していた長男の変化
ーー山内さんが運営スタッフに加わったきっかけは何ですか?
長男が2歳のとき、私は自宅で英語を教えようとしていました。私自身、英語が話せるので発音の違いなど「勉強」として英語を学ばせようとしたんです。
でも、ある日突然「英語は嫌い!」と言われてしまいました。2歳なので日本語の理解も深まり、急に知らない言葉が入ってきて混乱したのかもしれません。
その後、4歳になり成長するにつれて自ら英語に興味を持ち始めました。「今なら英語を楽しく学べるかも!」と思い、リトリンゴの活動に参加。その理念に共感し、スタッフとして関わることを決めました。
リトリンゴに参加してからは、長男も英語が楽しいと感じるようになり、おうち英語も少しずつ再開できるようになりました。
ーーおうち英語の難しさを感じることはありますか?
英語はインプットだけではなく、アウトプットの場が必要だと実感しています。家庭内だけでは限界があるので、課外活動が大切なんです。
例えば、先日行った泥遊びイベントの時、外国人の子どもたちがジャンプしながら「スプラッシュ!」と叫ぶのを見て、長男も「スプラッシュ!」と何度も口に出していました。単語自体は以前から知っていましたが、実際に体験して初めて言葉が自分のものとなった瞬間でした。

育児と活動の両立、そして子どもへの影響
ーー育児とイベント活動の両立は大変ではないですか?
もちろん大変ですが、「家事・育児を最優先する」と決めています。子どものために活動をしているのに、子どもと遊ぶ時間が削られてしまっては本末転倒なので。
フルタイム勤務のスタッフもいるので、打ち合わせは基本子どもたちが寝たあとに。イベント準備は子どもたちにも手伝ってもらいながら一緒にやっています。
年齢や国籍の枠を超えて、大人が協力する姿を見せること。それこそが子どもたちにとって大きな影響を与えると感じています。なので、子どもたちに活動する姿をあえて見せていますね。

ーーイベントや活動を企画する上で、特に苦労していることを教えてください。
1番の課題は、やはり運営にかかる費用ですね。
イベントの規模が大きくなるにつれて、講師代や場所代や収穫体験の費用、材料費、その他の諸経費が必要になります。そのため参加費をいただいています。でも、本当は無料やワンコインで開催できたら理想なんです。
リトリンゴの活動目的のひとつに、地域格差や体験格差をなくしたいという想いがあります。けれど現状の参加者は、普段から子どもの体験機会を積極的に調べ、行動しているご家庭が多いんですよね。
今後は企業や自治体と連携し、経済的に参加が難しい家庭にも活動を届けたいと考えています。先日、子どもの居場所づくりや人材育成に取り組む団体へ贈られる金秀青少年育成財団の助成金を受け、活動の広がりが見えてきました。
ーー活動を通じて、山内さんの子どもたちにどのような変化や効果を感じていますか?
子どもたちの興味や視野がどんどん広がっていると感じます。
例えば、ウミガメ保護活動のイベント中に、海岸に打ち上げられた骨を見つけた長男が「これって恐竜の骨?」と目を輝かせたんです。その瞬間、「もっと知りたい!」という好奇心が芽生えたのが分かりました。
イベントの後、一緒に博物館へ問い合わせをし、専門家の話を聞く機会を作りました。そこから興味が広がり、図書館で分厚い図鑑を借りてきたり、骨や生き物の体の仕組みについて自分なりに調べるようになりました。

また、畑での泥遊びイベントでは「この泥は遊ぶためのもの?それとも畑?」という疑問が出てきました。田植えや収穫イベントを重ね、「僕たちが食べているお米って、あの泥の畑からできたの?」と気づいたときの表情は忘れられません。
こうした体験の中で、大人が答えを教えすぎず、子ども自身が気づくことを大切にしているんです。実際に体験し、実感することで、学びが深まり、ただの知識ではなく自分ごととして理解できるようになる。それが、リトリンゴの大きな魅力のひとつだと思っています。
ーー子どもたちの疑問からどんなイベントを実施しましたか?
ある日、街を歩いているときに長男が選挙ポスターを見て「この人は誰?何をするの?」と聞いてきたんです。
それがきっかけで、「じゃあ、本物の市長さんに話を聞いてみよう!」という流れになり、実際に市長さんに直接お話を伺うイベントを企画しました。

この経験を通じて、子どもたちは「自分の住む町にはどんな人がいて、どんなことをしているのか」というのを意識するようになりました。それ以来、町を歩くときも、周囲にある看板やポスターをじっくり見たり、「これは何?」「どうしてこうなっているの?」と疑問が増えたんです。
こうした小さな気づきを大切にして、それを実際の体験に結びつけてあげることが、子どもたちの学びにつながると感じています。
ママの背中が子どもに与える影響
ーー子どもたちは活動しているママの姿をなんと言っていますか?
今まで長男の夢は野球選手だったんですが、最近「英語の先生にもなりたい」と言い始めたんです!
理由を聞くと、「ママがリトリンゴで楽しく英語を話している姿を見て、かっこいいと思った」と言われて…。もう、涙が出そうになりました(泣)
だって、数年前は「ママ、英語喋らないで!英語は嫌い!」と言っていた子なんですよ。
子どもは、親の姿をしっかり見ているんですよね。私自身、何かを教えるのではなく、まずは「楽しんでいる姿を見せる」大切さを実感しました。

未来へのビジョンとメッセージ
ーーリトリンゴの活動を通じて、どんな社会を目指しますか?
国籍や地域を超え、子どもたちがのびのびと学び、挑戦できる社会を目指しています。地域格差や体験格差を埋め、多くの子どもたちに参加してもらえる仕組みを作りたいです。
ーー山内さんも子どもが産まれて生活が大きく変わったと思います。同じく新しいことに挑戦したいと思っているママにメッセージはありますか?
なにか始めようと意気込んでも、行動に移すのは難しいことありますよね。
一歩が踏み出せないと迷っている方は、まず自分が何が好きで何が嫌いかを知ることから始めてください。昔こんなことが好きだったなと思い出せるし、嫌いなことは無理して取り組まなくて良いし。その自己分析が新たな一歩につながると思います。
リトリンゴはただの英語団体ではなく、子どもの疑問を大切にする場所。もし何かやりたいことが見つからない方は、ぜひイベントに遊びに来てみてください。子どもだけでなく、親自身が新しい気づきを得られる場所になれば嬉しいです。
▼以前にご紹介した、イベント体験レポートもチェックしてみてください!
“英語を教えない”英語サークル「Little Lingo Circle Okinawa」が届ける、本物の体験とは?






