CHOICE|レンタルスペース「L’Albero」 新垣さゆりさんインタビュー

CHOICE|レンタルスペース「L’Albero」 新垣さゆりさんインタビュー

「私らしく」活躍しているママたちに会ってみたい!

彼女たちが今に至るまで、どんな選択や決断をしてきたのか。

「CHOICE」は、沖縄で活躍する女性に焦点を当て、ママとして、そして一人の女性として毎日を全力で楽しむための「秘訣」を紹介するインタビューシリーズです。

仕事や家庭、育児など、日々の生活の中で奮闘する女性たちにとって、少しでも前向きに過ごすためのプラスαのヒントをお届けすることを目的としています。

同じ境遇で頑張る皆さんが共感でき、すぐに実践できるようなアイデアやアドバイスを引き出し、ポジティブなエネルギーを広めたいと考えています。

第9回目は、那覇市でレンタルスペース「L’Albero(アルベロ)」を運営している新垣さゆりさんにお話を伺いました。

元小学校英語講師がレンタルスペースで育んだ理想の働き方

新垣さゆりさん

CHOICE

新垣さゆりさん

小学校で英語講師として勤務していたが、出産を機にキャリアの見直しを決意。「自分のペースで、自分らしく働ける場所をつくりたい」と考え、レンタルスペース「L’Albero」を立ち上げる。
これまでに築いた人とのつながりを生かし、利用者同士が互いに成長できる企画やイベントも積極的に開催している。

小学校で英語講師として勤務していたが、出産を機にキャリアの見直しを決意。「自分のペースで、自分らしく働ける場所をつくりたい」と考え、レンタルスペース「L’Albero」を立ち上げる。
これまでに築いた人とのつながりを生かし、利用者同士が互いに成長できる企画やイベントも積極的に開催している。

出産をきっかけに新しい働き方を模索

ーー結婚・出産を経て、働き方についてどのような葛藤がありましたか?

これまでの働き方を見直す必要が出てきました。

小学校で英語講師として働いていましたが、夫が飲食店勤務で夕方出勤や週末勤務が多く、私が平日フルタイムで働くと夫と顔を合わせる時間が極端に減ってしまう現実がありました。

子どもとの時間、夫婦の会話、家族のコミュニケーション。どれも私にはとても大切な時間です。そのため、英語教師として働くことは諦める決断をしました。

求人を眺めるだけの毎日。やりたい仕事が見つからず悩みました。家庭を優先した働き方をしたいのは本心だけど、「私は、本当は何がしたいんだろう」という葛藤が頭の中でずっとグルグルとしていました。

ーーそこから「レンタルスペースを自分で作る」という選択に至るまでの経緯を教えてください。

これまで積み重ねてきたキャリアを諦めたくない気持ちはありました。でも家庭の状況との折り合いをつけようとすると、条件の合う職場がなかなか見つからず、本当に悩みました。

夫の夢はいつかレストランを持つこと。私はその夢をサポートしつつ、自分の語学力も生かせる働き方を探したのですが、これだ!と思える選択肢に出会えなかったんです。

そんなとき、ふと「自分で選べる働き方を作ればいいんだ」と思い立ちました。好きな時間に働けて、自分が心地よいと感じられる場所を自分でつくる。その答えとして生まれたのがレンタルスペース「アルベロ」です。

レンタルスペースなら、自分のペースで英語教室も開けるし、空いている時間は貸し出すこともできます。

もちろん、開業なんて大きなことをやったことがなかったので不安だらけでした。でも、それを後押ししてくれたのが夫でした。私の漠然としたイメージを聞いて、一緒に家具や備品を考えて買い揃えてくれたり、内装作業も夫婦で行ったりして、まさに二人三脚で作り上げた場所なんです。

 

多様な出会いが生まれる場所

ーーレンタルスペース「アルベロ」では、どんな人との出会いや変化がありましたか?

アルベロは1部屋を1時間から借りられる自由度の高いスペースで、ママ友会やレッスン、講座など用途は本当にさまざまです。赤ちゃん連れでも安心して使えるよう畳スペースも作り、利用者それぞれが自分らしく使える場所を目指しています。

私自身も、この場所で英語教室を開くだけでなく、交流イベントも企画しています。そこで参加者同士が自然とつながり、そこから一緒に仕事をするようになったケースもありました。

また、定期的に開催している「アルベロマーケット」は多彩な出店が集まるイベントで、ベビーマッサージ、ドライヘッドスパ、アロマスプレー作り、小物販売など、普段出会わないような業種同士がつながる場になっています。

「ここで素敵な人に出会えたよ」と言ってもらえると、自分の存在意義を感じて胸がいっぱいになります。アルベロは私にとっても成長の場所になっています。

 

子どもの自主性を育む特別なイベント

ーー子どもが店主になる「キッズマーケット」が誕生した経緯と、印象的なエピソードを教えてください。

キッズマーケットの始まりは、実は偶然でした。春休み中で子どもの子守りに悩んでいたとき、「アルベロマーケットに出店してみる?」と娘を誘ってみたんです。

肩たたきセラピストとして出店させてみると、大人たちから「子どもに肩たたきしてもらうと癒されるね」と大好評で、娘自身も楽しんでいました。

その経験を他の子にもさせてあげたいと感じ、キッズマーケットが生まれました。ここではフリーマーケットやお菓子の手づかみゲーム、好きな生き物についての説明会など、子どもたちが自由に発想してお店を開きます。ポップを作ったり、商品説明を工夫したりと、まさに自主性そのものです。

特に心に残ったのは、娘が肩たたきで得たお金で私にネックレスとヘアゴムを買ってきてくれたこと。「ママにプレゼント!」と満面の笑みで差し出してくれた姿は一生忘れません。

自分の行動で誰かが喜んでくれることを体験し、その喜びが自己肯定感に変わっていく。キッズマーケットはそんな成長の場になっています。

 

利用者の選択肢を広げながら、家族の心も豊かに

ーー仕事と子育てを分けないスタイルを大切にする理由は? 家族との関わりに変化はありましたか?

私は仕事と子育てをあえて切り離していません。アルベロの掃除を子どもと一緒にしたり、楽しそうに働く姿を見せたりすることで、「働くことって楽しいんだよ」と自然と伝わると感じているからです。

長女は「大きくなったらママみたいに、人と出会える場所を作りたい」と言ってくれます。

いろんな働き方があって、もしやりたいことが見つからなければ自分で作ればいい。そんなメッセージを日々伝えながら、「何をしているときに自分が嬉しいと感じるか」を子どもたちと話す時間を大切にしています。

私がやりたいと思って始めたアルベロですが、気づけば利用者さんからたくさんの温かさや支えをもらい、ここで出会った人たちは宝物のような存在になりました。

ーーこれから挑戦したいこと、そして今悩んでいるママへのメッセージをお願いします。

大人の学びの場を作りたいと、ずっと思ってきました。その思いがようやく形になり、オンライン講座の準備も進んでいます。

私が作りたいのは、ただ学ぶ場所ではありません。自分のペースで整い、一歩が自然と前に進む場所です。

忙しいママでも、これからフリーランスを目指す人でも、ちょっと相談したい日でも、どんな人にも優しい入り口があるオンライン講座にしたい。今まで培ってきたつながりを生かし、互いに成長できる場にしていきたいです。

悩んでいるママへ伝えたいのは、小さな一歩でも未来は変わるということ。私も家庭と自分のやりたいことの間で悩み続けてきました。でも、好きな気持ちを無視せずに向き合えば、必ずあなたらしい選択肢が見えてきます。

アルベロは、そんな新しい挑戦を支えられる“木”のような場所でありたいと思っています。

INFORMATION

店名:

レンタルスペース「L’Albero」

住所:

沖縄県那覇市真嘉比2-14-19 コーポラスさとB1

※記事内の情報は記事執筆時点のものです。正確な情報とは異なる可能性がございますので、最新の情報は直接店舗にお問い合わせください。